第604回 充足理由律とエビデンスレベル
酒は口から味はひ、愛は目から感ずる。それが人生を祝ひ、真実に通ずる(イェイツ “Drinking Song” )。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
「産みの苦しみ」の一つは、想像力の問題だと思うのです。これから自分が創りだそうとしているものが最終的にどういうものになるのか、という想像がなかなか形にならない時、たいへんにしんどいものです。
すでにある手本をそのまま再現すればいい場合とは違い、何も見ないで白紙にオリジナルの絵を描かなければいけない時。もちろん多くの先達の知恵を手摺りにするとはいえ、歩く手段はあくまでも自分の足だけです。何を手本にして、どこにどのように向かうのか、すべて自分で決め、進んでいくのですから、これは苦しい。
音楽でも、絵でも、落語でも、自分独自のパフォーマンスが求められるならば、そういう手摺りとか手本とか鑑をどれだけ持っているか、磨いているか、常備しているか、私にとってはきわめて重要なことなのです。結局のところ、想像力は創造力ということでしょうか。
IT現場でも新しいシステムを作ろうとする時は同じ苦しみが伴うはずです。新しいものを考えようとする人に対して、いかに適切な手摺り、手本、鑑を提供してあげられるか。いかに想像力を誘発し伴走してあげられるか。これはITリーダーに必要な技能です。
<今日の本歌>
ウィリアム・バトラー・イェイツ “Drinking Song”