第432回 リカード理論と世界定め
ラジオのチューニングの音が聞える。瞬間にこぼれる音、ポインター・シスターズ、モーツァルト、パーシィ・フェイス、落語、受験講座数学、ブログの告知……。こんにちは、大島雅己です。
仕事をするうえで分業は大事ですね。分担、割り振り、チーム分け、外部委託などです。つまり何でも自分で抱え込むのでもなく、何でも人任せにするのでもなく、必要充分な体制を組んで、バランスよく仕事を分配することですよね。
と、言ってしまうのは簡単ですが、では適切な分業とはどういう状態をいうのか。どうすればそれが実現できるのか。
ITの世界ではシステムを開発するのに、方針決め、要件定義、業務設計、システム設計、プログラミング、テスト、教育、移行などの工程がありますが、一人のシステム責任者がすべてを見ることは不可能です。全体方針は会社としてボード決裁するでしょうし、要件定義はプロデューサ格の担当とシステム部門で協力して作るべきです。設計はより各論に強い適任者がいるはずで、プログラミングは開発ベンダーに委託するでしょう。
さて、できあがったシステムが全体として適切なものになっているかどうか、どうやって判断すればよいでしょうか。それはプロジェクト責任者が最初に決めておかなければいけないことです。誰が、どの部分を、何をもってOKとするか、という判断基準を決めておくということです。それぞれのジャッジポイントを、それぞれのプロが責任もって確認したかどうか。そこを押さえておかないと、あとで不備が見つかった時に原因究明や再発防止対策に手間取ってオタオタすることになるでしょう。
映画をみていていつも驚くのですが、スタッフロールに出てくる人の数は夥しいものがありますよね。百人、千人規模の人達が協同しているわけですが、映画監督が全てのタスクを見ているとは思えません。細かい部分は各チームに委ね、決めたポイントだけをチェックしているはずです。
<今日の本歌>
浅井慎平『キッドナップ・ブルース』