第306回 杯中の蛇影とファサード
わが民らよ、遠き父祖ブロガーのはぐくんだ、後裔なる子らよ、いかがいたしたのか。かざしをつけた嘆願のしるしのブログを手に手にささげ持ってそこにそうして座っているとは。こんにちは、大島雅己です。
素直であるべきか、疑心を持つべきか。これは悩ましい問題です。ものごとを素直に受け入れるという澄んだ姿勢も好ましく、何事も疑ってかかるという慎重さも重要だからです。
つまりどちらも必要な態度なのですが、ではそれをどう使い分けるのか、という話になりますね。理想としては両方のカードを常に持ちながら、かわるがわる使いたいものです。まずは事実を素直に受け止める。そしてその意味を疑心をもって考える。受け取ったことが、本当に受け取った通りのものなのかを疑う。
誰かが悩みを打ち明けてきたら、それをまずそのまま受け止める。悩んでいるという事実を受け入れる。悩んでいる内容をいったん引き受ける。その人の立場になってみて、同じ感覚を味わってみる。そうしておいて、その言葉の奥に潜む本音をあらためて探ってみる。これをかわるがわる行う。見方を交互に換えるのです。
これは自分が何かを作る時、考え出す時も同じで、自分に対しても使える技です。思いついたアイディアをいったん素直に受け入れて採用してみる。そして、違うのではないかと疑ってみる。本当にそれが最適なのか、再考してみるということです。
<今日の本歌>
ソポクレス『オイディプス王』