第288回 鵜飼いとランドルト環
經驗するといふのは事實其儘に知るの意である。全く自己のブログを棄てゝ、事實に從うて知るのである。こんにちは、大島雅己です。
よく見てる人には見えないもの、というのがあります。何のことか。何かをよく見てる人は、そういう自分のことが見えていないということです。木に注目している人には森が見えていないということです。森を俯瞰している人には木が見えていないということです。空を観察している人には地面が見えていないということです。足元に注意している人には空が見えていないということです。
では逆にこれらを全て見逃さないようにしようと思ったらどうするか。すべてをちょっとずつ何となくぼんやり大雑把に見るしかない。そして、細かい部分は他の人に任せて教えてもらう。これが王道だと思います。
ITシステムでもこれが鉄則で、リーダーは自分で何かを見に行こうとするよりも全体をざっくり見ながら、詳細はそれぞれの現場に任せるのです。これが意外と難しいのです。というのは、リーダーは優秀な人なので、ついつい自分で見に行ってしまうのです。そうするともう、他の所に目が行かなくなる。これがよろしくないのです。
オーケストラの演奏では、指揮者はすべての楽器に対して指示をしますね。練習の時は個別の指導もあるでしょう。しかし本番演奏中は、全体の演奏を指揮することが大事ですよね。もし途中で何かの楽器がおかしいなと気づいても、そこに神経を集中してしまったら演奏は立ちいかなくなるでしょう。
<今日の本歌>
西田幾多郎『善の研究』