第1611回 ホイッグと真主齧上目

あご濡らすは生ビールかわが汗か。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

歴史が人類の成長過程だとすれば、長い長い準備期間を経たのち、よちよち歩きを始めたのが原始時代と言えましょうか。動物世界から一歩抜きん出た文明を作り出し、じわじわと全世界をわがものとすべく開拓を進めます。社会を作り近隣の相手との戦いを繰り返しながら自分達の勢力を拡大していきます。過去に学び歴史を顧みながら、多くのことを身に着けたようでありながら、見るも無惨な失敗に傷つくこともしばしばでした。

二十一世紀の現在、はたして人類はどのぐらいの年頃になったのか。成人を超えて分別ある大人の自覚を持つ存在か、あるいは酸いも甘いも噛み分けた中年時代を生きるのか、それとももはや老齢の域に差し掛かって人生の儚さを実感しているか。日々のニュースを見ているとどうも、やっと物心のついた小中学生のレベルにいるように思われてならないのです。

そういえば筒井康隆氏の『空想の起源と進化』という短編小説では、小説家である主人公が「人間の空想力なんて、昔も今もそれほど進歩していないのでは…」という思いに駆られます。たしかに歴史の年表をたどっていくと、人間のやることなすことなど同じことの繰り返しに見えてきます。

(A面へ)

<今日の一唱>
筒井康隆『空想の起源と進化』

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