第1603回 ボヘミアニズムと旗国主義

蕎麦猪口の底に真夏を封じ込め。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

犬は人に付き猫は家に付く、と言いますが、人を見るのか物を見るのかという問題は到るところで起こります。罪を憎むべきだとわかっていても人を憎んでしまうものですし、落語は何の演目を聴くかではなく誰の高座を聴きたいかが肝心です。永山則夫の文藝家協会問題のように、作者と作品を切り離して評価すべきであるという考えもあるでしょう。特に昨今は有名人が不祥事を起こしたら映画やCMなどあらゆる仕事から即刻締め出されるような風潮があるように感じます。

仕事であれば「何の仕事をするか」と同じぐらい、「誰と仕事をするか」が重要であることは確かですし、最後は誰のための仕事をするのか、が画竜点睛を決めるような気がします。

そういえば筒井康隆氏はエッセイの中で「作家に興味はない。作品に興味がある」と書いています。人が仕事を選ぶのか、仕事が人を選ぶのか。

(A面へ)

<今日の一唱>
筒井康隆『筒井康隆に25の質問』

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA