第1599回 コピュラと16番染色体

ハイボール注ぐグラスを選ぶ夏。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

青い空、白い雲。赤いりんご、黄色いさくらんぼ。楽しい夕べ、悲しい酒。大きな白樺、小さな幸せ。高い買い物、低い壁。よい人間、悪い習慣。形容詞は修飾語として活躍し、物事の状況を説明します。

しかしこれらは使いようによっては危険を呼ぶものでもあります。私にとっての青が他人にとっては黒かもしれず、彼にとって高い値打ちが私には低いかもしれないからです。

つまり形容詞は使う者の主観にすぎないということを忘れてはならないのです。逆に言えば、客観性が求められる情報に形容詞を入れてはならないということです。

そういえばシャーロックホームズの『赤毛組合』では、同じ赤髪でも「藁の色、レモン色、オレンジ色、煉瓦色、アイリッシュ・セッターの毛色から、レバーみたいな赤褐色、はては粘土色にいたるまで」、まさに色とりどりでした。カラスが黒いか白いか茶色いか、誰も決めることはできないのでしょう。

(A面へ)

<今日の一唱>
コナン・ドイル『赤毛組合』深町眞理子・訳

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