第1598回 サトリのワッパと存在論的意味
おもむろにビールで〆る熱帯夜。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
はじめたいと思います。そうしたいと思います。進めたいと思います。云々。この「……たいと思います」という言い方を最初に始めたのは一体誰なのでしょうか。そしてどうやってこんなに一般的に広まったのでしょうか。
「はじめます」「やります」「進めます」と言えばいいのに、なぜそこに「思い」を挟み込むのか。思う、ということは頭の中に浮かべているだけで行動に移すかどうかは別問題です。思ったけど結局やりませんでした、という言い訳の余地を持たせているのでしょうか。
聞いている相手は、思いよりも実践を待っているのではないでしょうか。それとも行動する前に思いを確かめたい人がたくさんいるのでしょうか。
そういえば泉昌之氏の『ズミラマ』では、部長から「お前ら一体何考えとるんじゃ!」と叱責された証券会社社員が、「えー私は今……」と、考えていたことを吐露するシーンがありました。これこそまさに「思います」と言うべきタイミングでしょう。
<今日の一唱>
泉昌之『ズミラマ』