第1544回 ハビトゥスと茶番狂言
シャツ二枚決めかねている朝曇り。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
ブームに乗るなんてつまらないと思っています。むしろ進んで乗らないように心掛けています。ましてや自分でブームに加担したり片棒を担ぐような真似は絶対にしたくありません。する機会もありませんけれども。
ブームとは一時的に流行ることであり、つまり「にわか流行」です。博多仁和加のように伝統と実績があるものならともかく、一般にニワカと言えば即物的なものを指し、それは低品質なものにつながります。今だけ良ければいい、今をしのげればいい、目の前だけ見えればいい、というスタンスを続けると、どこかで大きな破綻に襲われるでしょう。だから落語ブームとか、ペットブームとか、レトロブームなどと聞くと、警戒しなければ、と身構えてしまいます。いいように大量消費されて使い回されて飽きられて捨てられてしまうのではないかと。
そう言えば筒井康隆氏の『おれに関する噂』の主人公は平凡な会社員でありながら、ある日突然マスコミに報道され、専門の評論家が現れ、週刊誌の表紙にまで写真が載る有名人になり、その騒ぎが収まって一カ月もすると、「なんでもない人」となりました。元に戻っただけ、まだましだったのかもしれません。
<今日の一唱>
筒井康隆『おれに関する噂』