第1528回 ベンゼン環と非認知主義
エアコンの機械音かなギリンリン。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
メタ思考というものがありますが、メタと聞いて思い出すのはまず化学で勉強した芳香族化合物の異性体「オルト」「メタ」「パラ」で、この場合のメタは「別の形」というような意味だと理解しています。
情報システムなどの世界では「メタデータ」というものがあり、これは「データについてのデータ」つまり情報の中味ではなくその情報の属性とか出自などを表すもので、書籍で言うと著者名・出版日・タイトルなど、いわゆる書誌情報であり検索のために整備されたりする。
モノの考え方にもメタを使って、今目の前で取り組んでいる物事ではなく、それを一段上あるいは一歩引いたところから見て、その物事の位置づけとか背景とか状況を客観的に把握するような考え方が重要だと感じています。
そういえば筒井康隆氏の『メタ・パラの七・五人』ではメタに加えてパラという概念も取り込んだ小説が展開されます。パラとは佐々木敦氏が提言した新しい考え方で、フィクションの中に読み手を巻き込むような試みです。とすると自分だけでなく対峙する相手と共に状況を捉えるような、パラ思考とでもいうべき考え方もあるのかもしれません。
<今日の一唱>
筒井康隆『メタ・パラの七・五人』