第1518回 アーカーシャと渦度方程式
みずからがセピア色した猫を撮り。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
夜が明けて、朝になって、目が覚める、これは単に時間が経過した現象ではないし、眠りを終えて起床しただけの事象でもないと思うのです。夜間眠っている間、自分自身は明示的な活動を停止して休眠のモードにあるのと同じように、部屋の空気も、時間の流れも、やはり動きを停めているのです。
これは「淀み」の状態です。「泥(なず)み」であり、「滞り」です。すべてが停滞し、沈殿し、鬱積しているのです。
朝になり目が覚める起きあがり活動を開始することにより、空気は動き出し、時間も流れ始めます。活動とは自分一人だけが動いているわけではなく、世界の中の存在である自分が世界ごと前へ進むことなのだと実感できます。
そういえば筒井康隆氏の『虚人たち』では主人公が眠っている間の描写は何も書かれてない空白が続き、単行本にして数ページの白紙になっています。眠っている間は世界も眠っているのです。
<今日の一唱>
筒井康隆『虚人たち』