第1506回 ムラング・オルディネールとルジン問題

夏近し煙のやうな雨に濡れ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

「丸」が気になれば「角」も気になります。調べたところ、「カド」の「カ」は「カヒ(交)」あるいは「カカリ(掛)」から、「ド」は「処」から来ているようです。つまり、二つのものが交わるところ、ふれあうところ、関わるところ、ぶつかるところ、という感じですね。そこから、物や場所等の、とがって突き出た部分や道の曲り目を表すようになったのでしょう。

さらに発展して、抜きん出て目立つものとか目につく特徴につながって、才能や趣向といった意味を持つに至ったものと思われます。「ひとかどの人物」や「詐欺のかどで捕まる」などもその用例でしょう。マルが全体や自然や神性に由来するものなら、カドは異質や周縁や条理を含んだ言葉であるようです。どちらも意味をかみしめた上で大事にすべきですね。

そういえば夏目漱石『草枕』の冒頭に「智に働けば角が立つ」とありましたね。人間関係においては、角は嫌われるようで、角の取れた丸い人柄が好まれるようですが、たとえ逆境にあっても「かどを倒さぬ」ことを心がけるべきでしょう。

(A面へ)

<今日の一唱>
夏目漱石『草枕』

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