第1505回 リング符号と昇殿制

新緑が早くも靄にけむる朝。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

ふと「丸」という言葉が気になっていろいろと調べてみると、驚くことにもともとは「まろ」で、自然のままの全体の姿や、完全なるもの、あるいは聖俗の境界にあるもの、呪的な力を持つもの、神仏の世界に通じるもの等につながる意味を持つようです。

牛若丸とか蝉丸のように幼子の名前につく「丸」も本来は「マロ」で、これは小さくてかわいらしいものの意味ではなく、そもそも子供が聖俗の境界にある存在であるところから来ている、とは網野善彦氏の説にもありますね。動物の名前、船の名前、楽器の名前、武具の名前等にナニナニ丸とあるのも関係しているようです。

「丸」「円」「団」すべてマルで、ここから「毬」「鞠」にもつながるのでしょう。副詞になれば「まるで」となって完全さを表すものとなり、動詞化すれば「まろぶ」ですね。丸は完全であり神聖であり自然であり、恐れ多いものだと再認識しました。

そういえば枕草子「上にさぶらふ御猫は」に「翁丸」という犬が登場しますね。読みは「おきなまろ」でしょうか。宮中で可愛がられていたようなのですが、作中では周りの人間たちにひどい目に合わされます。みんな「丸」の意味を理解していなかったものと思われます。

(A面へ)

<今日の一唱>
清少納言『枕草子』上にさぶらふ御猫は

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