第1494回 舞智風体とオルソケラトロジー

エアコンの久々にきく唸り音。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

エッフェル塔が嫌いな奴はエッフェル塔に行け、とは開き直っているわけではなく、モーパッサンがしたように、見たくないものの中に入ってしまえば本体が見えなくなるということで、これは構造の真理をついた鋭い箴言ですね。カッコいい服を着るのはいいけれど、着ている姿を自分では客観的に見えないものです。魅力的な車を欲しがる人は多いでしょうが、乗っている時はその車の雄姿を見ることはできません。構造体の中にいる時、それを外から見ることができないので、全体がどうなっているかノーケアになってしまうということです。

とすれば、そのものをよく知りたければそこから離れろ、とも言えるということです。勉強でも建物でも組織でも。

そういえば世阿弥が「離見の見にて見所同見となりて不及目の身所まで見智して五体相応の幽姿をなすべし」と宣っています。見たいものを見ようと近づけば近づくほど、見える部分は狭まっていきますね。

(A面へ)

<今日の一唱>
世阿弥『花鏡』

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