第1456回 逆ナイロールと五具足

容赦なく溜まる新聞春おぼろ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

なにげなく眼鏡を外してレンズを見てみればたいていは想像以上にホコリやら汚れやら傷がついていて驚愕します。かけている時は気がつかないのです。こんなに目の前にあるのにです。あまりにも目に近すぎて焦点が合わないからなのか、身近なものほど気に留めないということなのか、灯台下暗しを地で行く実例なのか。

いずれにしても見るための道具である眼鏡が見ることを妨げている事実は重く受け止めるべきでしょう。目の前に公然とある事実に気づかず、何の問題も起きていないと思い込んでいる恐怖。これを、たかが眼鏡の話と流すわけにはいかない。類似した例が自分の中で他にも起きているに違いないからです。服を前後逆に着ていたり、まったく頓珍漢なことを空耳していたり、喋っている言葉が間違いだらけだったりするのでしょう。なんと恐ろしいことか。

そういえば『青い鳥』を訳した楠山正雄氏は「一そう明るい、心の智慧の目」を持つべしなのだと序文に書いています。実利的な目で物を見ようとすればするほど目は濁っていくということでしょうか。

(A面へ)

<今日の一唱>
メーテルリンク『青い鳥』楠山正雄訳

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