第1434回 共同幻想とアストロターフィング
三と四どころか一寒二温なり。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
みんなが知っているはずのこと、みんなが知っていて当たり前のこと、いつの間にか当たり前の概念になっていること、言わずとも通じると信じられていること、いまさら説明する必要のない常識。こういったことは通念的すぎて、あらたまって正確な定義を求めようとするとえてして何も頼ることができず、もとを辿ろうとしてもどこの誰に聞けばよいのかもわからず、そうなってくるとそもそもそれは本当に正しいのか、本当に存在するのかも自信が持てなくなってきます。
これを回避する一番簡単な方法は、記録を残すことでしょう。電子媒体でもよいですが、改ざんされやすくオリジナルがわかりにくく出所も不確かで管理も煩雑になりやすいので、できれば紙媒体が理想です。デジタルが持てはやされるほどに、アナログの価値は高まっていくに違いありません。
そういえば、池澤夏樹氏の『また会う日まで』に「記憶というもの、大半は相続されないのだ」とありました。記憶をつなぐための最良の媒体は人間であるといえましょう。
<今日の一唱>
池澤夏樹氏『また会う日まで』