第1414回 インテロバングと命題論

冴え返る毛布一枚迷ひ敷き。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。日頃何の疑問も持たず無邪気に使っていながらその正確な意味や実態を知らないものは、気づいていないけれど恐らく無数にあるんだろうと思うのですが、例えばその一つは文章の記述上誰もが必ず使う句点、読点、括弧、中点などの記号、いわゆる「約物」というやつでしょう。

ふと思い立って日本語の約物がどれぐらいあるのか調べてみたら、疑問符、感嘆符、コロン、セミコロン、斜線などの記述記号をはじめ、コーテーション、ダッシュ、ハイフン、リーダ、アスタリスク、ビュレット、米印、踊り字、重ね字、送り字、繰返し記号、反復記号、ノノ点、庵り点などなど想定を遥かに超える多様ぶりであり、欧文も含めればさらにすごいことになるでしょう。

これらはすべて言葉を正確に効果的にわかりやすく伝えるための工夫であって、情報を伝えるための技術から生まれたもの、すなわちITに他ならないのです。

そういえば筒井康隆氏が『句点と読点』という作品で、昔の人はこうした記号がなかったにもかかわらず文章を理解していたことを考えれば読解力にすぐれていたのだろうと述べています。技術や工夫が発展すれば人間本来の能力は衰えていくのだとすれば、そこにどう立ち向かっていくのかは人類の大いなる課題でしょう。

(A面へ)

<今日の一唱>
筒井康隆『句点と読点』

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