第1301回 フラジオレットと有毛細胞

ぼくは「大きな耳」なんか持っていない。音痴なんだ(植草甚一『フリー・ジャズの勉強』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

音源から発した音は、強さと高さと大きさと色を伴って媒介の中を運ばれてゆきます。

強さとは音が本来持つエネルギーというか力の規模です。強さを持った音は芯がしっかりして圧力を感じさせます。

高さとは音がどのレベルで振動しているかを表す指標のようなもので、小刻みに動けば高くなり、ゆっくり動けば低くなる。大きさは受け取る側が感じ取る実際のボリュームで、音源からの距離や経路によって違ってきます。そして色は音の顔つきであり内容であり印象です。

そして重要なのはこれを伝える媒介です。どんな媒介を通るかによって音がどう伝わるかが決まるのであり、場合によっては実体をよりよいものにも悪いものにも変えるし、全然違うものになることも、あるいはまったく伝わらなかったりもします。

音を発する時、たいていは強さばかりに気を取られています。

(A面へ)

<今日の一唱>
植草甚一『フリー・ジャズの勉強』

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