第1271回 ボンバイエと春秋学
お先真暗でも、元気を出して突き進もうじゃないか!(大江健三郎『静かな生活』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「元気」の正体は何だろうと考えるとなかなか不思議なもののようです。健康的に活動している様子を「元気である」と言います。活発な様子の人を指して「あの人は元気がある」とも言います。他人の話を聞いたり芸術作品を鑑賞して「元気をもらった」と言ったり、溌剌とした人に向かって「その元気を分けてほしい」などと言う人もいます。落ち込んでいる人に対して「元気を出せ」と励ますこともあります。
活力とかエネルギーのようでありながら、人が無意識に備えているもののようでもあり、意識して生み出すものでもあり、人から人へ伝染するようでもあり、刺激によって生み出せるものでもあるようです。
気力があっても体力が追い付かなければ物事は進められないし、気合があっても心が落ち着いていなければ行動は覚束ない。そういうものをひっくるめた総合的な心身の有り様が元気の本質なのかもしれません。
<今日の一唱>
大江健三郎『静かな生活』