第1272回 デデキント有限と紙袋順平

ではおれは何だ。二重存在か(筒井康隆『朝のガスパール』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

私は自分の会社の代表であると同時にそこに雇われる従業員でもあります。並行して音楽活動を共にする仲間の一員でもあり、また芸事の稽古では師匠の元で学ぶ生徒として修業に励みます。猫たちの同居人としての立場もあり、利き酒師として酒を楽しむ顔もあります。何よりも文明社会を生き抜く人間としての生活を持っています。

これは「人にはいろいろな一面がある」という単純な話ではなく、自分とは一つの姿に規定できないものであり、それらは有機的に繋がりながらも別の層として重なり合う構造を持ち、時には相反するような役割を交互に演じたりしながらも、一切の矛盾も軋轢も起こさず日々の生を過ごしているのです。

世の中のほとんどあらゆるものは一つに限定されない、無限の相貌を持つ存在であるはずです。

(A面へ)

<今日の一唱>
筒井康隆『朝のガスパール』

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