第1211回 此れ沙汰とキュニコス派
人の水を飲みて冷暖自知するが如し(『景徳傳燈録』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
これだけネットが蔓延ると何の情報がどこからどこを伝って来たものか全くわからず、ましてやその信憑性など完全に眉唾ものであることが殆どでうんざりします。
有名人の動向、企業や店のニュース、新商品やグッズの噂、注目の健康情報、本当に足が地についた情報がどれほどあることか。
考えてみれば身の回りを飛び交う情報、それを元に習得したつもりの知識、そこから敷衍しているはずの経験、それを以て得た気になっている教訓、すべてが「本当に自分の体で感得したもの」である信頼度は思ったほど高くなく、実は多くが「いつの間にか他者から齎されたもの」かもしれません。
他知の渦の中に自知のものがどれだけあるものか、一度確認してみるべきでしょう。
<今日の一唱>
『景徳傳燈録』