第1106回 三帖和讃とオレキシン

見栄えや財に惚れるは慾心であって、惚れたにはあらず、だ(朝井まかて『秘密の花壇』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

何かを欲しいと思う心がどこから生じてどこに向かうのか、あれこれ考えさせられる日々です。腹が減って何か食べたいと思うのは体の自然な生理現象なのでしょうけれど、意志に関係なく発するわけではなく、例えば他人が食事をするシーンを見たり聞いたり読んだり想像することで感化されているだけなのかもしれない。

実際にはそれほど空腹ではないのにかかわらず、目の前にスナック菓子があると半ば無意識に手を出してしまうこともある。同じ栄養的価値があってもオカラより寿司を食べたいと望むのは、本来の生理的欲求とは違うような気がします。酒を飲みたいと欲するのは喉が渇いているせいでもないし、生命維持のためにアルコール摂取が必要なわけでもない。

人の要求とは、かくも明確なようで不確かであり、単純なようで複雑であり、普遍なようで特異なものなのですね。

(A面へ)

<今日の一唱>
朝井まかて『秘密の花壇』

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