第1089回 三千世界とプロトパンク

花影婆娑と踏むべくありぬ岨の月(原石鼎)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

「婆娑」とは、衣服の翻るバサバサとした音に当てた言葉で、そこから人が歩き回ったり影が乱れ動いたり葉が風に揺れたりする様子をも表すようですが、これを逆にすれば「娑婆」であって、俗世間を指す仏教語となり、梵語「サハー」の音訳です。

この2語には何も相関性がないのかしらとぼんやり考えていたら、「婆娑羅」もあることに気づき、これは見栄をはって派手に飾り立てたり本来の形から外れた自由な動きを表すもので、「婆娑」の発展形を思わせます。

さらに妄想逞しく進めると英語の「バザー(bazaar)」が浮かびますが、これは元を辿ればイスラムの市場が本義だそうで、ペルシャ語に起源があるようです。また、「サバト」といえば悪魔の宴会の呼称であり、そこから安息日という意味につながり、英語だと「サバス」ですね。

これらの言葉はそれぞれ、互いに強く由来しているものもあれば、うっすらと重なっているものもあるし、ほぼ無関係なものもあるでしょうが、私の頭の中ではすべてが連想の渦の中で結びついてハイパーリンクしています。この、自分の中にリンクを作ることが自分の世界を作って行くことになるのです。

(A面へ)

<今日の一唱>
原石鼎『花影』

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA