第1062回 アーベル群とオッカムの剃刀

この有名な警句には続きがあって、「おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」とこう来る。シンプルであり、シグニフィカントであり、インテレスティングであり、そしてユーモラスであること。

創作物全般のみならず、人生を取り巻くすべてのものがこうあってほしい、素晴らしい理念ですが、長くて覚えられないし、なかなか厳しい条件でもあり、座右の銘として掲げるのは烏滸がましいやら畏れ多いやらで、尻込みしてしまいます。

せめてできるところだけでも、ということで最初の部分「むずかしいことをやさしく」ぐらいは徹底したいと思っています。やさしく、とは「易しく」「優しく」の両方の意味だと勝手に解釈し、伝える相手に愛情をもって、相手の立場に身を置いて、相手がわかる言葉で接すること。中身はあくまでシンプルに。飾らず、気負わず、出しゃばらず。

ちなみに「やさし」の語源は「痩す」で、身が細るような控えめな態度を表すそうです。まさにシンプルであれということか。

(A面へ)

<今日の一唱>
井上ひさしの言葉

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