第1053回 単色収差とホーリズム

近づけば向きあちこちや梅の花(三橋敏雄)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

多くの花は群がつて咲くのであり、全体でひと固まりと捉へれば花といふより花群とか花塊になつてゐるわけですが、それを眺める時、一本一本の花はあまり意識されないでせう。花見で桜を見る時も、各花ごとの様子を細かく観察することはあまりなく、樹あるいは樹林の単位で咲き具合を評価しがちです。

花を愛でたいと思ふ時、綺麗な一輪のものを見るのと、野を覆ふやうに群生した様子を見るのとでは、観点も心持も評価も違つてくるでせう。見てゐる対象は同じものであつても観察者の意識によつて感じ方は全く違ふものになることもあるのは当然ですが、同じ人間であつても対象をどう見るかによつて全く違ふ印象を持つでせう。

whatは同じでもhowが違へば結果は変はるといふわけで、様々な局面に当て嵌まることでもあります。他人とのコミュニケーションでもこのことに気をつけてゐないと思はぬところで齟齬が発生するものです。

(A面へ)

<今日の一唱>
三橋敏雄の句

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