第1039回 ナルキッソスと遺伝子水平伝播

蒼々たる姑射の松、化して婥約の美人と顕れ、珊々たる羅浮山の梅、夢に清麗の佳人と成る(『菅原伝授手習鑑』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

姑射も羅浮山も、中国にある秘境の山ださうで、そこに生える松や梅は時おり美女の姿に化けるといひます。人は何故、「化ける」話に魅せられるのでせうか。狐狸妖怪、カメレオン、仮面ライダー、ウルトラマン、スーパーマン、パーマン、怪盗ルパン、バケルくん、自来也、鷺娘、グレーゴル・ザムザ、例を挙げればきりがありませんが、化けることには人間の憧憬や畏怖や崇拝や礼賛が込められてゐるかのやうです。

一方で、現実世界ではさうさう大きな変化は起きないものだし、むしろ起こしてはならないのであつて、だからこそ目まぐるしく変はるものに憧れるのでせう。

しかし、それは実生活を離れた異空間だけで愉しむものなのでせうか。何かを成し遂げたり事を起こすためには、変化がなくてはいけないはづです。変化がなければ発展も進化も進歩も成長も飛躍もイノベーションもないのです。

(A面へ)

<今日の一唱>
人形浄瑠璃『菅原伝授手習鑑』

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