第1012回 マンデルブロ集合と快楽の宮殿
「芸がよいから顔がよいのか、顔がよいから芸がよいのか、原因と結果とを御間違へ被成ぬやう奉願候」(正岡子規)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
なにごとにも因果関係とか相関関係があるものですが、あまりそこに嵌り過ぎないやうに気をつけてゐます。容姿が端麗な人は何をやつてもサマになるやうなところがあるけれど、惚れてしまへば痘痕も靨とも言へますし、内面が輝いてゐる人は外見も美しく映るものです。方法を正しく取つてゐると内容の質も上がつていきますし、中身がすぐれてゐればそれに伴つて見た目も麗しい状態になる。これらはどちらが先でどちらが後といふわけでもないのであつて互ひが互ひを補つて高め合つてゐるのです。止揚、アウフヘーベンといふのでせうか。
とすれば内容を高めたいから内容ばかりに注力するのでなく、外見から攻めてゆく方が効果的な場合もあるのでせうし、その逆もあるのです。片面ばかり気にするのでなく裏面から入る方がよいこともあるわけです。
ビジネスの現場でも、まず外面を整へるのか、内容から進めるのか、今自分はどちらに注力しやうとしてゐるのかを意識することが重要だと思つてゐます。
<今日の一唱>
正岡子規の書簡