第999回 アナーガーミと反転分布

「凡そ天下の禍簒怨恨、其の起こる所以の者は、相愛せざるを以て生ずるなり」(『墨子』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

世間や身の回りで起こる災ひとは、よくよく考へてみれば、詰まるところ、何かしらの「不」が生じてゐる状態のやうです。欲求が満たされない、つまり不満である。金が不足してゐる、或いは時間が不充分である。手筈に不備があり、用意が不十分だ。不意の有事と不慮の危機に煩はされ、人間関係は不仲になつてゐる。不運な事故に巻き込まれ、不公平で不平等な扱ひを受けてゐる。バランスすべきものが不安定で先行きが不安であり、不吉な事象に不快感を覚える。

この状況を解決する方法は、「不」を取り除くことである。欲求を満足させ、物資を充足し、充分な蓄へを持ち、用意と卒意に配慮し、人間関係を円満に潤滑させ、幸運を呼び寄せ、公平で平等で安定した快適な状態を築くこと。

生活の営みも社会の構造も、それを目指して関係性の網を紡いでゐるはずであり、もしそれが叶つてゐないとしたら、どこにどんな不が起きてゐるかを突き止め、その解消に努めるべきです。

IT現場はまさに如何にして不を解消するかを追求するものです。それが誰のどんな不なのかを常に意識してゐないと方向を誤つてしまふことになります。

(A面へ)

<今日の一唱>
墨子『墨子』

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