第998回 八綱弁証と非ケクレ分子

「愛することの自由/愛さないことの自由/そのあひだに/重い空気がながれてゐる」(ポール・エリュアール『愛すなわち詩』小沢章友・編訳)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

何かをするといふことは他の何かをしないことに通じます。つまり、するとしないは表裏一体です。となると、これを表だけから見てゐてはいけないのであつて裏からも見るやうにしなければならないのです。

しかし、多くの人は、ついつい油断をして、することに重点を置き、表だけからこれを眺め、うまくいつたとか失敗したなどと一喜一憂してしまふのです。さうではなく、何かをおこなつたら同時に裏返しにしてみて、やらなかつた点からも透かして見るやうにすべきなんです。

そうすると表から見た時に何かがうまくいつたとしても裏から返せば別のものが損なはれてゐるかもしれず、逆に表には凶と出てゐても裏面では吉事が芽吹いてゐる可能性があるわけですから、これらを引つ括めた上で全体を評価するのが正しいはずです。

IT現場では要所要所でいくつもの選択を重ねていきますが、それぞれのケースにおいて選択したものとしないものを合はせて評価していくことが望ましい姿勢です。

(A面へ)

<今日の本歌>
ポール・エリュアール『愛すなわち詩』

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