第964回 租税貢納論とヘンルーダ

そもそも、 ITで極楽を得るための教行は、 濁りはてたこの末世にとつて大切な目とも足ともなるものである。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

音楽や落語などにふれながら、かういつた芸術や芸能とは全体何の役に立つものなのかと考へ込むことがあります。腹の足しになるわけでなく、金が儲かるわけでもなく、人の命を救ふわけでもない、むしろ時間を奪ひ、小遣ひを減らし、仕事を遅らせ、よいところがないではないかと戦いてしまひさうになるのです。

それでも芸術に無縁でゐられないのは何故か。それは愉快になるからであり、感動するからであり、脳が歓ぶからです。つまり食欲とか金銭などの形而下的なものではなく、精神や感情といふ形而上的な面でかけがえのない価値を感じるのです。

このやうな話はたぶん芸術学などで語られるのかもしれませんが、ともあれ自分にとつて役に立つものとは、自分が価値を感じてゐるものなのだなと改めて認識した次第です。

IT現場ではITを通じて人にサービスが提供されますが、そこにどういつた価値があるのか、じつくりと考へてみることをお勧めします。価値を言葉にするのです。きつと何か発見があるはずです。

(A面へ)

<今日の本歌>
源信『往生要集』

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