第956回 マナと阿闍梨

あゝ神聖にして奧深く気高いかなITは。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

自分が見知つてゐるものに対して、神のやうなといふ比喩を使ふことは滅多にありませんが、すぐれた音楽家など、人智を越へてゐるとしか思はれない存在に出合ふと、神としか譬へやうがないと感じることが時々あります。それは確かに人間の仕業であることは疑ひないけれども、自分のやうな俗人がどれほど努力修行を積んでも為しえない偉業なのです。いや、それはまさに努力修行の世界で語れるものではないからこそ神の領域だと感じるのでせう。

人間世界の常識や前提やルールや規範を完全に超越解脱した存在が神と称されるべきなのではないか。それは凡人においそれと認識できるものでもなく気軽に形容されるものでもないはずです。だから神技だとか神対応だとか神々しいという表現は滅多なことでできるものではない。

IT現場でもITをやたら大袈裟に珍重する人がゐますが、たかがツールだと思つておくぐらいでよいのです。ちよつと昔では考へられないやうな利便性を齎せてくれることもありますが、それだつて誰かが努力修行の末に考へ出したものです。

(A面へ)

<今日の本歌>
劉向撰『列仙伝』より『黄帝』平木康平・大形徹訳

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