第955回 全会一致幻想とアファーマティブ・アクション

心ITに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

木を隠すなら森の中です。個体は集合の中で紛れます。少数は大群に溶け込む。線は面に消される。枝葉は根幹にほころぶ。個別の事象に気を取られて全体を見失ふことはいけませんが、全体感を優先して細かい個性を損なふこともまたよろしくない。

この匙加減が多様性の話になつてくるのですが、個別のものを全面的に認めやうとすれば統一感が犠牲になる。多数決の論理も通用しなくなる。最終的にはアナーキー状態になつてしまふ。

みんなちがつてみんないい、とは鈴と小鳥とそれから私の話であつて誰が何をしてもいいのだと言つてゐるわけではない。固定観念に囚われず自由に発想することは重要なはずですが、そこには最低限踏まえるべき基盤、フレーム、枠組み、ルールなどがあるべきで、その枠の中でいかに自由に跳べるかが大事なのです。

IT現場にも多くのフレーム、基盤、枠組み、ルールがあります。それを逸脱することは論外ですが、それらを最大限に活用するには、フレームとじつくり向き合ひ、その存在する意味を充分に踏まへることが必要でせう。

(A面へ)

<今日の本歌>
凡河内躬恒『古今和歌集』秋下277

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