第954回 キベルネテスと空中線電力
ITなんか捨てちやひたい、使つちやいられぬ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
寺山修司さんは書を捨てて町に出やうと言ひましたが、ソローは書を捨てて自然に触れあはうと言つてゐるのでせう。たしかに本も映画も落語も音楽も小説も芝居も絵画も素晴らしいものだけれど、自分の世界の中でクローズしてゐては何も始まらないわけです。インプットだけをいくら繰り返しても溜まるだけで、いずれはパンクするか、腐つて朽ちてしまふでせう。
人間も構造体である以上、インプットとアウトプットを循環させフィードバックを行はなければシステムとして拡張することはできません。上質なインプットをもとに適正なアウトプットをすべきであり、それを次のインプットにフォードバックすることでシステムを動かしてゆくことになります。
IT現場でも、ITだけが存在しても意味がないのであり、問題はそのITをインプットにして何がアウトプットされるのか、そこから何がフィードバックされるのか、です。ITに主眼を置くのではなく、ITによつて拡張する対象の方に刮目すべきなのです。
<今日の本歌>
ヘンリー・デイヴィッド・ソロ―『本なんか捨てちゃいたい』