第949回 第三種接近遭遇と虫めづる姫君

どうだこれは新しいものだ、と言へるやうなITがあるだらうか。それはすでに昔私たちの前の世にあつたのである。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

新しいものとは何だらうかと時々考へます。これまで存在しなかつたもの。それまでの存在と性質を異にするもの。いまだかつて経験したことのないもの。もしそんなものが本当に目の前に登場したら、恐怖のためすぐには受け入れられない気がします。どんなリスクが潜んでゐるのかわからないわけですし、自分にとつて害を持つ可能性があるのですから。

未知の生物、未知の食べ物、未知の文化、未知の技術、かういつたものはさうさう簡単に登場することはなく、現れたとしたら一大事件になるでせう。逆に言へば世の中で新しいと騒がれるもののほとんどはさほど新しいわけではないのでせう。今まであつたものが一部異なる特徴を持つただけ、あるいは今まであつたもの同士を組み合はせたものに過ぎないと思つた方が正しいかもしれません。

IT現場でも先端技術やイノベーションが持てはやされる風潮を感じることがありますが、今までにないものを発明しやうと躍起になるより、今あるものをどう変へるか、何を何とくつつけるか、を考へるべきなのでせう。

(A面へ)

<今日の本歌>
旧約聖書『伝道の書:あるいは説教者』

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