第937回 シノワズリと非機能要件
きのうはキュビスト、おとといはフォーヴ、その前はブロガーだつた。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
音楽の話をするとやたらとジャンルを気にする人がゐます。その曲はロックなのか、ジャズなのか、ファンクなのか、云々。所属が明確になつていないとその音楽を鑑賞できないといふことなのでせうかね。
私としてはさういふ区分けがあまり好きではないといふか気にしないといふか、そこを厳密に追及しても意味がないと思つてをるのですが如何でせう。そもそもさういつたジャンルといふのは便宜的機械的平均的汎用的に拵えられたもので絶対的な分類でもなく、一つの曲にも様々な側面があるでせうし、どこにも属さないものだつてあります。役に立つのは検索のタグとかランキングの集計など二次的なことであつて音楽の本質とは別の話だと思ふのです。
もちろん音楽の歴史や全体感を把握するための手摺りとしての意味は大いにありますが、ジャンルばかりに拘つてゐては、型に嵌める思考が優先して個々の味はひを見逃してしまふ恐れもあります。
IT現場では様々な方法論とかフレームワークなどの「型」があり、いずれも意味のあるものですが、これを絶対的なものだと過信するのは危険だと思つてをります。あくまでも目安として利用するものであつて、どう決着するかの判断は自分の頭で考へるべきです。
<今日の本歌>
島田雅彦『認識マシーンへのレクイエム』