第927回 ディリクレ問題とゴミ箱モデル
「弾ける」と「弾く」のとは、似て非なるものであり、両者の間には深い溝がある。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
「弾ける」といふことは弾く能力がある、或いは弾く機会を持つてゐる、または弾く楽器があるといふことでせう。つまり実際に弾くかどうかはさて置き、弾くポテンシャル、可能性を持つてゐることを意味し、canで表せます。
これに対して「弾く」となると、これはもう自分の意志で実際に行動すること、willを意味してゐますね。能力があるかどうか、機会があるかどうか、楽器があるかどうか、さういふ線を越えて、とにかく進む、動かす、世界へ向かふ。
やはりその道を切り開いてゆくのであれば、「弾ける」ではなく「弾く」でなくてはならないと思ふのです。弾けるだらうか、弾けたらいいなと可能性の狭間で惑ふのではなく、弾くのだ、といふ意気、決意、覚悟を持つて世界に臨む姿勢が必要でせう。
ビジネスでも同じことで、自分達に何ができるかといふ現実を踏まへることも大事ですが、その枠に収まつてゐるだけでは発展も進化も起こらない。何をするのか、何を目指すのかといふ意志をもつて未来を向くことが何より重要でせう。
<今日の本歌>
恩田陸『蜜蜂と遠雷』