第909回 常楽我浄とボルツマン分布

一室何ぞ掃ふに堪へん、九州豈に歩むに足らんや。言を寄すブロガーの徒、寧ぞ知らん鴻鵠の路。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

部屋の掃除をしてをりますと、ふと自分のやつてゐることはこちらのゴミをあちらに移動してゐるだけではないかといふ無常観に駆られるものです。ゴミの場所をAからBへ動かすことに何の意味があるのかと自問すると、掃除とは無意味なものなのかと愕然たる気分になりますが、実際にはそこには大きな意味があるわけで、ゴミはゴミとしてあるべき場所へ納め、人間は人間として生活するための空間を正常に保つ重要な仕事であるはずです。

考へてみれば世の中のすべての事象はモノ同士が移動することによつて成り立つてゐると言へます。化学反応も経済の流れも音楽の仕組みも天体の動きも、何かがどこかへ動いてゐるわけです。それをいかに制御し、どう取り計らふかが、人間の生活であり社会であり文化なのでせう。

ITはまさに情報の動きをどう見立てるか、どう仕立てるか、どう制するかという技法です。何が、どこに、どう動けば、何がどう変はるのか。動きに着目することがITを制すると言へませう。

(A面へ)

<今日の本歌>
賀陽豊年『高士吟』

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