第458回 四原因説とアフィン空間
ほうほけきょや鶯や、うぐいすや、たまたま都へのぼるとて、のぼるとて、うーめの小枝に昼寐して、赤坂奴の夢をみた、ブログの中から文がでた、お千代にこいとの文がでた……。こんにちは、大島雅己です。
なぜなぜ分析とかなぜなぜ五回というのは問題解決技法でおなじみですが、現場で自然に使いこなすには訓練が必要でしょうね。軽率な使い方をしてしまうと逆効果になりそうです。
例えば、会議に遅刻した時に、なぜ遅刻したのか→家を出るのが遅れたから→なぜ出るのが遅れたのか→出がけに電話があったから→なぜ電話があったのか→歯医者から予約時間の相談で→なぜ歯医者にいくのか→歯石除去のため→なぜ除去するのか→健康のため→なぜ健康を気にするのか→そんなこと言われる筋合いはない。
あるいは、ピアノの曲がうまく弾けない原因を探るのに、なぜうまく弾けないのか→指が回らないから→なぜ回らないのか→指の神経がにぶいから→なぜ鈍いのか→加齢によるものだ→なぜ加齢するのか→生命のプログラムによる→なぜだ→知るか
とこのように、問いの立て方も答え方もズレズレだと全く意味がない。なぜなぜ分析の目的は真の原因を探ることでしょうから、表面に現れた原因からだんだん深層に入り込んでいくような推論をしなければいけないはずです。
私がよくやるのは「そもそも分析」です。そもそも家を出る前に何をしておくべきだったか、そもそもピアノ曲のどの部分でどういうミスをしているのか。真の原因を探るというより、真の問題を見つけるという姿勢です。これはIT現場では欠かせないマインドですが、これも使い方を間違えると話がすっとびます。「そもそも何のためにやってるんだっけ?」のような根元的なことを会議の途中に言い出したり、「そもそもあの時こうだったよね」のように昔に立ち戻るような態度は問題を悪化させるだけでしょう。
<今日の本歌>
中勘助『銀の匙』