第355回 セマフォと可能世界論
きさま……きさまその頭にかぶってるの……俺がブログを書くときに履くサポーターじゃないのか。こんにちは、大島雅己です。
IT現場でシステムを作ろうという時、最初に困るのはたいてい、要件がなかなか決まらず何をやりたいのかわからないか、あるいは要件があまりに多くて収集がつかないか、のどちらかです。ですのでシステム屋さんの仕事は、この整理から始めることが多い。その要件の妥当性や、担当者の真意に配慮して、適切な計画に落とす必要があります。
要件を整理するためには何が必要か。よく使われるのは、まず緊急度、重要度。できればそこに順番をつける。そして想定される効果。だいたいこれぐらいの情報を元にして、コストも見積りながら、どこからどう手をつけていくのがよいかをプランニングするわけですが、これが難しい。本当にそんなに緊急なのか、どれぐらい重要なのか、やらないとどうなるのか、IT化しなくても別の方法で解決できるのではないか、などなど、そういったことまでフラットに考える必要があるからです。「優先順位をつける」と、言うのは簡単ですが、なかなかできないものです。
読みたい本は積ん読になっていて、聴きたい音楽もたまっていて、観たい映画もつかえており、とはいえ酒も飲みたし、落語もききたし、バンドもやりたし、絵も描きたい、そんな中で、優先順位などといっていられませんよね。全部同時に叶えられるのが一番なのですが。