第1267回 イブン・サイードと異聞西土

世の中は澄むと濁るで大ちがい、人は茶をのみ蛇は人をのむ(井上ひさし『巷談辞典』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

似て非なるもの。クラウドコンピューティングは雲の彼方に広がり、クラウドファンディングは集団の力を募る。アナログ趣味は時間の連続性を好み、アナクロ趣味は時間の錯誤に陥る。コントラクションは言葉を縮め、コンストラクションは建物を構築する。モントルーはジャズ・フェスティバルで、モントレーはポップ・フェスティバル。ハイゼンベルグは不確定性で、ハイデルベルクは化石人類。ヘッケルは系統発生で、ケッヘルは音楽学者。ボードレールは悪の華で、ボーボワールは第二の性。おざなりは大雑把で、なおざりはほったらかし。セマンティックスは意味で、シンタックスは文法。ゲゼルシャフトは利益社会でゲマインシャフトは血縁社会。メンデルスゾーンはロマン主義音楽で、メンデルゾーンは表現主義建築。

似たものと意識するか、非なるものと認識するかが問題です。

(A面へ)

<今日の一唱>
井上ひさし『巷談辞典』

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