第1258回 無次元量とアイソレーション

使い始めたからにはそれがもたらす災厄もまた永遠に管理し続けなければならない(島田雅彦『パンとサーカス』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

実体を持つものを手にすれば、もはや自分事では済まされません。その実体が持つ時間と空間と歴史と構造に関係し巻き込まれることに等しいからです。

たとえ自分一人で考え出し作り上げたものだとしてもそこから先の維持管理のための仕組みが必要になり、責任が発生します。作った直後に破棄する前提だとしても、破棄するための仕掛けが社会との関連を生むはずです。あらゆる関係性を自分一人の世界だけで完結させることなどおそらくまず不可能でしょう。

しかしたいていの場合、それを手に入れようとしている時あるいは自分で作っている最中は、そんなことに意識が向かないものです。早く手に入れたい、早く作り上げたいという思いに押されて、周りのことや先のことはあとで何とかなるだろうと思ってしまうのです。

(A面へ)

<今日の一唱>
島田雅彦『パンとサーカス』

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