第1195回 ルーガと喃語
若盛りにあてがひ世帯、うごうごと生きて居て(井原西鶴『西鶴置土産』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「うごうご」が擬態語とは最近まで知らなかったのですが、うざうざ、とか、うじうじ、なども同じ語根を持つようです。そこから「うごめく」ができて「うごく」に繋がる、との説がありますが、こうなるともはや、動くからうごうごなのか、うごうごだから動くのか、混乱しそうになります。
物事の状態を表す言葉は、見た人の感覚や感性によるところが大きいはずで、同じ景色を見ても人によって「おどろおどろしいな」と感じたり「ざわざわしているな」と思ったり「ごちゃごちゃしているな」と表現したり、捉え方は様々でしょう。それを別々に受け取ったら、同じものを指しているとは気づかないかもしれません。
言葉にすることは情報の置き換えであり、何をどう置換するかは多分に人為的なものであることによくよく注意すべきだと感じます。
<今日の一唱>
井原西鶴『西鶴置土産』