第1055回 自性清浄とトローペ理論

万のこと皆もつて、そらごと、たわごと、真実あることなし(『歎異抄』)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

常に真実を見極めることが大事である、と自分に言ひ聞かせてゐますが、わかつてゐても簡単ではないことです。なぜ簡単でないのかと考へるに、その理由の一つは、見極める行為そのものが人為的なものだからでせう。

人のやることである以上、その人の主観が働くことになり、そこには感情もあり、感覚もあり、意思があり、情動があり、感性があり、心があり、趣味趣向があるからです。つまり誰一人同じになることはなく、これを客観的に確定させるためには完全に平等公正な判断基準を作つてこれを数値などで評価するしかありません。

しかし世間で起こる現象はそのやうな基準を作れるものばかりではないでせう。例へば一つの音楽を客観的に表現するには譜面に書くことが常套手段ですが、どんなに細かい書き方をしたところで、万人に全く音楽を伝へることはできません。これに対して、どうやつて関係者間で共通認識を持ち合意形成できるか、そのアプローチが極めて重要です。

(A面へ)

<今日の一唱>
筆者不詳『歎異抄』

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