第60回 BABOKとスーパーエゴ

レフトアローンの最後の曲が終わって、らせんを昇るような音でレコードはまだ回っています。こんにちは、大島雅己です。

人の本当の心とは、なかなか見えないものでしょうか。それとも素直な状態でスッと出てくるものでしょうか。
インタビューやアンケート用紙の質問に出くわした時、人はとっさに回答しようとすると、思ってもいなかったことを口走るのか、それとも素直に本音をしゃべってしまうのか。
ためしてガッテンあたりで検証してもよさそうなこの疑問、私が思うに、「実際には本心ではないが、本心だと思い込んでいることをつい言ってしまうことが多い」です。つまり、パッと思いついたことは、やはり思いつきであって、心の底から真剣に考えたものとは違うと思うのです。

もちろんケースによります。普段から一つのことを真剣に考えて煮詰めていれば、それはもう常にその人の頭の中で熟成され醸成されて無意識レベルにまで沁みついた状態になっているから、どんな時でもすぐに出てくるでしょう。
しかしそこまで考え抜くことはなかなかないのではないでしょうか?

IT現場で、これから作るシステムの要件を決める時も、最初に決めた要望があとから変わることはいくらでもあります。あの時ああいったじゃないですか! などと反論しても、考えた変わったので…と言われればどうしようもないし、それは当然のことだと考えておくべきでしょう。その前提のもとで、どうやって納期通り開発プロジェクトを進めるか、が開発プロセスのポイントの一つです。

藤栄道彦氏の「コンシェルジュ」は大好きなマンガですが、この中で日本とアメリカでの要求管理の違いを描いたエピソードが興味深いです。
日本人はパーティー会場のセッティングについて、間際になってからテーブルの位置を直したいだの何だのと好き放題に要求を出してくる。ホテル側のアメリカ人は、ステップを踏んで要求を確認しながらその都度契約書にサインまで交わしてきたのに、なぜ平気で内容を変えてくるのか! と怒り爆発。

人の気持ちは力で押さえつけられませんが、どこかで仕様を決めなければモノは作れませんね。そこをどう捌くかが問題です。

<今日の本歌>
村上龍「限りなく透明に近いブルー」

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