第788回 寄物陳思とペアノ曲線
迷ふ泣く立ちすくむまたブログ書く。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。
いや実際の句は下五が「日記買ふ」で季語なのです。小学校や中学校の時にもつとやつておけばよかつたと思ふものはたくさんありますが、中でも特に悔やまれるのは詩歌の勉強です。国語の授業で仕方なしに読むこと以外、何も興味を抱くことなく通過してしまひました。大人になつて松岡正剛先生の編集学校で勉強して、ようやくその奥深さ愉しさに目覚めましたが、あゝ余はまだ歌道に暗かつたと気づくのが数十年遅かつた。
最近いろいろなものに関して「究極の理想的な構造」を考へてゐます。それは無駄がそぎ落され、それでいて無限の可能性を持つものであります。芸術の究極構造は間違ひなく落語であり、文章の究極構造は俳句だと思ふのです。そこには必要最低限の素材しかありませんが、受け手には無限のイメージを見せてくれます。
ITシステムもさういふ理想を追ひ求めたいものですが、それはどのやうなものになるでせうか。必要最低限の機能だけを持ち、そこから無限の可能性が広がるもの。難しいやうですが、意外と身近にあるかもしれません。
<今日の本歌>
森谷明子『南風吹く』