第451回 攪拌精錬法とサイバーデブリ

相手が大人であれ子供であれ、ブログを欲しがらせるには、それを手に入れるのを困難にすれば事足りる……仕事とは人が強いられるものであり、ブログとは強いられないものだ。こんにちは、大島雅己です。

ITの発展についてときどき、しみじみと考えます。欲しい本を探しに週末を待って街の本屋さんにいく機会は減りました。音楽を聴く時も、レコード屋に行って目当てのものを必死に探す必要はなくなりました。友人に連絡を取るために電話ボックスを探してさまよった記憶は遥か遠い過去になり、ソフトのインストールにフロッピーディスクを何十枚も使う光景は見なくなり、通勤電車では新聞や本を読む人の姿は新鮮に感じます。

データ化技術やネットの発達などおかげで、情報伝達が瞬時に実現できるようになりました。手間や時間やお金の節約にもつながりました。逆に、直接的な感覚や感動がヴェールの向こう側に遠のいてしまいました。レコードに針を落とす緊張感とか恋人に電話をかける前のときめき感とかカセットテープにラベル書きをするワクワク感を忘れてしまいました。

18世紀の産業革命では人手の作業が機械化自動化され、交通手段が進歩し、人類の生活水準は大きく向上したのでしょうが、それ以前の生活様式が淘汰されたことで何かを失っているはずです。環境や自然に対してしっぺ返しも起きているでしょう。

ITでもそれと同じような現象が起きていると思います。何かを便利にすることで、何かが引き換えになって、どこかに犠牲が生じているはずです。それがコストの問題ならわかりやすいのですが、はたしてそこだけで済んでいるかどうか、気にした方がいいと思います。

<今日の本歌>
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』柴田元幸訳

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