第452回 パラダイム概念と偽旗作戦

人間は大そうなブログを書くが、その大部分が空虚でまやかしである。動物はほとんどそういうことをしないが、それは有益で真実だ。偉大なブログよりささやかな正確さの方がましである。こんにちは、大島雅己です。

漫画『天才バカボン』から受けた衝撃は数知れませんが、初めて読んだ幼稚園時代から数十年経った今でも強烈に覚えているのは「紅トカゲファーザーなのだ」という回(竹書房文庫版11巻、アケボノコミックス版18巻)です。

バカボンが家に友達をよんで遊んでいる。その子が帰ろうとするたびに、寂しいので家具や電化製品をあげて引き留める。結局最後に友達はテレビやステレオなどをごっそりとリヤカーで持って帰ってしまう。

このままではまずいと気づいたバカボンは狂言強盗を装う。窓ガラスを割り、部屋を荒らし、お金を隠し、自分を縄で縛って皆の帰りを待つ。パパが帰宅し、警察を呼んで調査している最中に友達が品物を返しに戻ってくるが、その場で犯人扱いされてしまう。

友達は、苦し紛れにバカボンのパパに命令されたと言い出す。「ふたりで紅トカゲ団をつくったじゃないか!」という彼の説得にパパもなぜかその気になり、通りがかった見知らぬ紳士をボス呼ばわりして責任をなすりつける。バカボンは自分の罪を他人に転嫁したことにホッと胸をなでおろすのだが、ここのバカボンのアップ、おそろしく躍動的で物々しいタッチで描かれているのが特に印象深い。

ボス呼ばわりされた紳士は警察の取り調べに開き直り、紅トカゲ団は国際的な巨大組織だとでたらめを語り、恐れをなしたおまわりさんに釈放される。

この原作は1972年7月のもので、ちょうど映画『ゴッドファーザー』が公開されたタイミングだ。タイトルはそこからもじったのだろうか。

天才バカボンに限らず赤塚不二夫作品は世の中の常識を自分の眼で斜めから捉えなおし新しい解釈を実験的に試みるようなものばかりです。

IT現場でもこのマインドはきわめて重要です。今までこうだったとか皆がそうしているという理由で盲目的にものごとを信用していてもイノベーションは起きないでしょう。

<今日の本歌>
『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』杉浦明平訳

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