第450回 ディオティマとERG理論
渭城ノ朝雨軽塵ヲ潤ス/客舎青青柳色新タナリ/君ニ勧ム更ニ尽クセ一杯ノ酒/西ノカタ陽関ヲ出ズレバ部録無カラン/こんにちは、大島雅己です。
趣味、嗜好、興味、こういったものにもレベルがあるように思います。ひとことに「興味がある」といっても五段階ぐらいに分かれて、一番強いのは、本能や生理的なレベルで惹かれている状態でしょう。魂で惚れ込んでいるというものです。理屈はなく、誰が何を言っても自分でも理由を説明できないこともあるかもしれません。無条件で共感し、最大限の愛情を注いでいるレベルです。もう少し離れると、興味の理由が論理的に説明できる段階となるのでしょうが、この場合は逆にその理由が覆された場合、興味を失うことになります。さらに低くなると、自分の意志が弱まっていき、友人知人に感化されて、とか、周りがみんな騒いでいるから一緒になって乗っかっているというスタンスです。世間の流行や潮流はこれに該当するものが多そうです。ブームですね。トレンドが去れば忘れられるかもしれません。それより薄いレベルは、もはや瞬発的な思いつきや反動によるものでしょう。ふだん食べないものを無性に欲しくなったり、常々嫌っている歌手の曲が突如気になったりするような。どうせのめり込むのなら、最初の本能レベルのものを徹底的に追求し、それ以外のものはすっぱりと捨てるぐらいの覚悟をもちたいものだと思っています。本当に惚れ込んでいるものに心血を注ぎ、そうでないものとは決別して時間を有効に使いたいのです。IT現場では、何が大事なのかよくわからないプロジェクトによく出会います。絶対に外せないものと、あった方が多少は便利なものと、よくわからないが他社がやってるからマネしたいものと、全部をまぜて考えてはいけません。レベル分け、ラベル付けをしましょう。
<今日の本歌>
王維『元二ノ安西ニ使ヒスルヲ送ル』