第1563回 トリスケルと千年王国
大暑きて水気が逆に熱気呼ぶ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
螺旋の「螺」の字は、ホラ貝のことである。虫へんに累と書く。白川字通その他漢和辞典によると、この累は重ねて束ねる意で、巻貝の形を表すという。古来は貝類も虫として括られていたことから虫へんなのである。
螺はニシとも読んで、田んぼにいるのがタニシ、色の赤いのがアカニシ。巻貝模様が旋回するから螺旋であり、酒器に使ったのを螺杯と言う。法具として使われた楽器のが法螺で、見た目以上に大きな音が出ることから、大袈裟なことを言うのを「法螺を吹く」となった。
仏像の丸まった髪をラホツというのは螺髪つまりうずまいた髪のことである。巻貝などをかねかざりにしたものが螺鈿であり、しめつけるための部品が螺子、これはネジるところから音を嵌めたのであろう。
字を読み解くことで、由来、形状、機能、適用、動き、音韻とどこまでも連想が繋がります。ひとつの文字を追求したことで世界の法則にまで思い至ることも可能でしょう。
そういえばかつて「渦巻の大宇宙へ」という展示会があり、そこでは「人類は、絶えざる『生命・再生のシンボル』として渦巻を『徴し続けてきた』」といいます。渦こそが世界、世界こそ渦なのです。
<今日の一唱>
『渦巻の大宇宙へ』