第1437回 別境心所とヘシカズム
手を見れば季節外れの皸よ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
歴史の本などを読んでいると、結局人間は昔から今にいたるまで、「よりよく生きるための努力を重ねてきた」のだなとは思うのですが、問題はその「よりよく」の部分をどう受け取るのか、それは人によっても場所によっても時代によっても解釈が異なることを痛感します。
周囲と戦って勝ち残ること、多くの金品を手に入れること、未知の世界を探究すること、多くの子孫を繁栄させること、とにかく自分の命を永らえること、先人の知恵を学び次世代に繋げること、空を飛び海に潜り地を駈け抜けること、時の流れを自由に変えること、人心を操り世界を牛耳ること、などなど、どれも人間の根本的な欲求に根差したものではあるのでしょうけれど、似ているなと思えば真逆なものもあったりして、まことに人の気持ちはわかるようでわからない。何気なく自分の基準で他人を計ると大きな間違いを犯すことになりそうです。
そういえば喜国雅彦氏の『傷だらけの天使たち』では妖精が願い事をひとつだけ叶えてくれるというので「願い事を百にして」と願うネタがありました。この技を使えば無限の願いが叶うわけですが、いったい人の欲求は無限に広がるものなのか、どこかに収束するものなのか。
<今日の一唱>
喜国雅彦『傷だらけの天使たち』